総帥ロン・デニスを解任。マクラーレン・ホンダ「お家騒動」の闇に迫る (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 しかしその後の35年間で、デニスは帝国を築いていった。レース部門『マクラーレン・レーシング』がF1で成功を収めると同時に、市販車部門『マクラーレン・オートモーティブ』を設立し、F1で得たカーボンコンポジットや電子制御といった技術やノウハウを『マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ』という企業としてビジネス展開していった。

 デニスはその3社の統括会社『マクラーレン・テクノロジー・グループ』の株式を25%保有し、会長兼CEOに就いた。

 2009年にはモータースポーツの一線を退いて市販車部門の経営に専念し、F1チームからも距離を置いた。ところが、2012年にF1チーム代表であったマーティン・ウィットマーシュにグループCEOの座も譲ったにもかかわらず、2014年1月に突如としてウィットマーシュを解任して総帥の座に返り咲き、F1チームの運営にもふたたび口を挟むようになった。

『マクラーレン・テクノロジー・グループ』において絶対的な存在であるデニスには誰も反論できず、F1チームと直接関わりのないはずの彼が現場に姿を見せると、あきらかにチームの雰囲気は変わった。よく言えば緊張感があるとも言えるが、悪く言えば権威と恐怖に怯(おび)えながら仕事をしているような雰囲気でもあった。

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