名パイロットの死と、室屋義秀の初優勝。
激動のエアレースを振り返る

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 2016年シーズンを振り返ったとき、とりわけレース戦略という点で室屋が悔いを残すのは、第5戦(アスコット/ラウンド・オブ・8敗退)と第6戦(ラウジッツ/ラウンド・オブ・14敗退)の2レースである。

 優勝した第3戦直後の第4戦(ブダペスト/ラウンド・オブ・8敗退)は悪天候に見舞われたこともあり、「勝負をかけるコンディションではなかったので仕方がない」と室屋。だが、その後の2戦は「アスコットでもちょっとパイロットのミスがあったし、ラウジッツは完全にミスだった」と認めざるをえず、「このふたつが結果的に大きかった。そこでちゃんとポイントを取っていれば、十分年間3位には入れたはず」と痛恨の思いを吐き出す。

「シーズンは長いので、心身両面でよいコンディションをずっと保って戦い続けるのは簡単ではない。食事とか、睡眠とか、ほんの些細なことでコンディションは変わってくる」

 室屋は、7カ月にもおよぶシーズンを乗り切ることの難しさをそう語る。だとしても、そうした細かな準備も含めて、勝利に必要なレース戦略なのだと室屋は考えている。

「そのへんをうまくマネージメントしていくことが、やっぱり課題だと思う」

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