名パイロットの死と、室屋義秀の初優勝。激動のエアレースを振り返る

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

第3戦の千葉で初優勝した室屋。来年はさらなる勝利を狙う(c)red bull第3戦の千葉で初優勝した室屋。来年はさらなる勝利を狙う(c)red bull エアレース参戦5季目となった2016年は、室屋義秀にとってどんなシーズンだったのだろうか。

 アメリカ・ラスベガスでの第8戦を最後にレッドブルエアレース・ワールドチャンピオンシップの2016年シーズンは幕を閉じ、室屋は年間総合6位に終わった。シーズン開幕前には「年間総合で表彰台(3位以内)」を目標に掲げていたことを考えれば、「残念は残念」(室屋)という結果である。

 開幕からの2戦はオーバーGに悩まされながらも(アブダビでの第1戦はラウンド・オブ・8敗退、シュピールベルグでの第2戦はラウンド・オブ・14敗退)、日本(千葉)で開かれた第3戦で悲願の初優勝。これをきっかけに、年間目標達成へ向けて上昇気流に乗るかと思われたが、その後はなかなかチャンピオンシップポイントを伸ばせなかった。

 表彰台へのラストチャンスになるはずだった第8戦が、強風によりキャンセルとなったことは不運ではあったが、それだけを今季の敗因にするのは無理がある。室屋が優勝した第3戦以外、コンスタントに上位進出できなかったのは、紛れもない事実だからだ。当の室屋自身もこう語っている。

「年間を通して、ウイングレットの使用許可が下りなかったり、G計測ユニットの問題があったり、今年はいろんなことがあったが、そういうことへの対処も含めて、レース戦略が足りなかった」

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