ライバルも祝福。シーズン9人目の勝者は
7年ぶりのドヴィツィオーゾ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今がシーズン最高の幸福の瞬間であることは間違いない。だが、今年は特にシーズン前半に、さまざまな不運に見舞われることも多かった。ここに至るまでの間に、もっともつらく厳しかったのはいつだったのか、と訊ねてみた。

「第2戦目から3戦連続で、自分の過失ではないのにノーポイントだったときだね。あの3戦では、少なくとも2戦で表彰台を獲得できていたと思う」

 開幕戦のカタールGPでは2位表彰台を獲得したが、次のアルゼンチンGPでは、最終コーナーの最終ラップにチームメイトのアンドレア・イアンノーネに接触されて転倒。あと数百メートルのところで表彰台を逸した。翌週のアメリカズGPでは、表彰台争いのバトルを繰り広げていた最中の1コーナーで、これもイン側から当たられて転倒。第4戦のスペインGPではウォーターポンプが破損してリタイア。そんな状況でも常に冷静さを保ち続けていた彼の姿勢は、自分の力ではどうしようもない運や巡り合わせの悪さを余計に際立たせた。

「あの3戦で失ったポイントは大量だし、チャンピオンシップを考えるとシーズン序盤にポイントを稼げているのといないのとでは、状況はだいぶ違う。だから、あれはかなり厳しかった。チャンピオン争いをしていくことが重要なのだから、ドゥカティの今年の進歩はうれしいけれども、まだ十分じゃない、自分たちにはもっと改善できる余地がある。本当にチャンピオンを狙うためにはさらにその先が必要だし、僕はそこに到達したいんだよ」

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