スズキを去る功労者エスパルガロ。
残り2戦で有終の表彰台獲得なるか

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「レース序盤から上位で走れた。終盤はリアのスピニングが多くなったので、(エンジン制御の)マッピングをもう少し早く切り替えるべきだったかもしれない。それでも、ここまで攻めることができたのは今シーズン初めてなので、残り3戦もこの調子で戦いたい。明日にでもすぐオーストラリアで走りたいくらいだよ」

 日本から連戦となるオーストラリアGPは、雨で金曜午後の走行がキャンセルされるなど、不安定なコンディションに翻弄される週末になったが、エスパルガロは好調な流れを維持して、土曜の予選で2列目4番グリッド。ウィーク初のすっきりしたドライセッションになった日曜午前のウォームアップでは、トップタイムから0.557秒差の6番手。レースに向けた仕上がりは順調そうな様子だった。

 実際に、27周のレースで1周目から3番手につけ、以後もこの順位を守ってレース後半に差しかかった。やがて後方からは直線スピードで勝るドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾが迫り、さらにその背後にはチームメイトのビニャーレスも追い上げてきていた。直線でドヴィツィオーゾに抜かれてはコーナーでエスパルガロが抜き返す展開がしばらく続いていたが、23周目の右へ小さく回り込む4コーナーで、エスパルガロはフロントを切れこませて転倒。マシンを引き起こすために立ち上がる気力もなく、その場でしばらくうつむいて座り込んでしまうほど落胆する姿がテレビモニターに大映しになった。

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