鈴鹿はいけるぞ!F1ホンダが日本GP前哨戦のダブル入賞に手応え (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 チーム内では、木曜日の時点でもまだ議論は続いていた。2台ともに投入するべきという意見、いずれも投入すべきではないという意見、1台だけ投入してレースまで使うべきという意見......。ジェンソン・バトンに自身300戦目の記念レースを最後尾からスタートさせたくない、という思いもそこにはあった。

 そんななかで、あえて一度載せた新型を降ろすというのは、長谷川の信念によるところが大きかった。

「どちらかというと、僕個人の考え方ですね。もちろんチーム内にはいろんな意見がありましたし、土曜日以降も使うとか、2台ともここで入れるとか、2台とも入れないとか、議論の紆余曲折はありました。でも、最終決定は僕が下しました。決めたのは、木曜日の夜の時点ですね」

 しかし、長谷川は感情論ばかりではなく、技術的な理論にも基づいてこの決定を下している。

「それほど(スペック3と3.5の)差が大きくないというのもあります。もし、スペック4が間に合っていたら、そう(アロンソ車だけに新型を搭載)していました。2台をフェアにすることよりも、当然成績のほうが重要ですから。でも、そんなに差がないのに、そこまで新しいものを投入することはないなと判断しました」

 ただし、エンジンブロックはスペック3に戻したが、排気管は引き続き新型に換装している。その効果もあったか、バトンは予選で目の覚めるような快走を見せてQ3に進出し、予選9位を獲得してみせた。

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