「おいしい部分が少ないマシン」のF1ホンダ。
鈴鹿に向けて秘策は?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 得意なのは、中速コーナーとハードブレーキングという極めて限られた分野のみ。スイートスポットの狭いマシンでは、優位に戦えるサーキットも限られてくる。シンガポールで3強チームに次ぐ7位を手にはしたが、厳しい現実を見せつけられたことも事実だった。その現実と向き合わなければならない。

 次のマレーシアGPでは、その翌週の日本GPに向けた"鈴鹿スペシャル"とも言うべき改良型パワーユニットを投入し、事前にグリッド降格ペナルティを消化しておきたいところだ。

 しかし、今の自分たちにそんな余裕があるのか? シンガポールで突きつけられた現実に、チームは自問自答の色を濃くしている。

「まだチーム側とも相談しているところですが、少なくともマレーシアに2台ともに投入するということは避けたいと思っています。今の我々は中団グループのなかでポジションを守ることはできても、一旦後方に下がってしまうと、そこから上がるだけの実力がありませんから、(ペナルティを受けて)後ろからスタートするというのは厳しいかなというのは、今日のレースを見ても明らかでしたからね。(2台とも最後尾スタートで)完全にレースを失うようなことにはしたくないというのが、今、チームと話し合っているところです」(長谷川総責任者)

 日本のファンとしては鈴鹿での快走を見たいところだが、チームの利益を考えれば、少しでもマシンのスイートスポットに近いマレーシアで上位でのレースをしたい。シンガポールで突きつけられた現実は、鈴鹿に向けた戦略にも影響を及ぼすことになったのだ。

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