不具合に苦しむ小林可夢偉の嘆き。「新車を買ってくださいよ......」 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・写真 text & photo by Yoneya Mineoki

 10番グリッドからスタートした日曜のレース2も、抜きどころのない岡山ではどうすることもできず、高すぎるタイヤの内圧に苦しみ、早めのピットストップを訴えた。だが、無線のトラブルでピット側には可夢偉の意思が伝わらず、無駄な時間ロスもした。

 そうしているうちに入賞圏内からも外れ、終了直前に可夢偉のマシンはピットレーンに入り、そのままガレージの前を通り過ぎていった。

「そう、スタート練習です。ホンマはもうちょっと早くやろかなと思ってたんやけど、あんまりやったら目立ちすぎるなと思って(苦笑)」

 冗談を言いながらも、やれるだけのことはやる。入賞の望みがないなら、テストをする。それがなんとも可夢偉らしい。

 暑くて苦しい51周のレースを終えた後、コクピットから降りた可夢偉はクルマの脇でレーシングスーツ姿のまま、長々とエンジニアたちと話し合った。

 いまだにポイントすら獲れず、コース上では可夢偉らしい走りを見せることもできない。言葉にできないもどかしい思いは、いくらでもある。しかし、小林可夢偉というレーシングドライバーは、なにひとつ変わっていない。

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