ホンダF1に大激変。バトンが語った「レースから離れる理由」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 このバトンの決定を、「休養」や「サバティカル(長期休暇)」という言葉で報じたメディアもあった。2018年の復帰の可能性もあるとはいえ、それはアロンソかバンドーンのいずれかがチームを去ることになったときの"保険"のようなものであり、実質的な引退ではないのか......という厳しい見方もある。

 ロン・デニスは言う。

「我々は"引退"という言葉は使わない。この先、2年間もジェンソンはマクラーレン・ホンダのドライバーのひとりであり続けるし、レースドライバーに何かあればジェンソンがドライブすることになる。マシン開発にも全面的に携わってもらうことができる。これは、我々がふたたび競争力を取り戻すために重要な戦略の一部なんだ。

 彼は今でも優勝してタイトル争いをする力のあるドライバーだ。しかし、これはフィジカルではなくメンタルの話で、それも勝利への決意が欠如しているといった問題ではなく、F1という世界に居続けることへの軋(きし)みのようなものだ。ジェンソンはリラックスし、心の平静を取り戻し、将来を見据えることができる。これは非常に革新的な方法であり、非常に現実的で論理的なソリューションだと思う」

 F1昇格を切望するバンドーンを手放さず、同時にバトンも手の内に置く。マクラーレンの日和見(ひよりみ)的なやり口には、"革新的"からはほど遠いという批判の声もある。

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