痛恨のオーバーGは「パイロットの問題」室屋義秀の年間表彰台に暗雲 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki


 予選の結果からもわかるように、室屋のフライトは明らかに安定してきている。常に上位進出できるだけのポテンシャルが備わっている。


 ところが、それが結果につながらない。千葉で開かれた第3戦で念願の初優勝こそ果たしたものの、裏を返せば、今季ファイナル4に進出できたのは、その1戦だけ。昨季後半の4戦中、3戦でファイナル4に進出し、2戦で表彰台に上がったときのように、コンスタントに結果を残すことができていないのがもどかしい。

 奇しくもこの第6戦で表彰台に立ったのは、1位マット・ホール、2位マティアス・ドルダラー、3位ピート・マクロードと、全員が室屋と同じ2009年デビュー組。室屋だけが最下位の14位に沈んだことは、残酷なまでに対照的な結果だった。

 昼過ぎには勢いを増した冷たい雨も夕方にはすっかり止み、雲が晴れた西の空からは太陽が顔を出してもなお、自らの失態を恥じ入る室屋の心を濡らし続ける雨は、決して上がることがなかった。

 だが、レースの借りはレースでしか返せない。室屋が訥々(とつとつ)と口を開く。

「集中力とか、コンディショニングとか、完全に自分自身の問題。チームというより、パイロットの要素が8割9割だろうと思う。第7戦までは約1カ月があるので、メンタルトレーニングとかも含めて、もう一回いろいろなことを整理し直して、レースに臨まなければいけないかなと思う」

 次の第7戦は10月1、2日、アメリカ・インディアナポリスで行なわれる。年間総合で表彰台という目標を達成するためには、もはや失敗は許されないレースである。

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