痛恨のオーバーGは「パイロットの問題」室屋義秀の年間表彰台に暗雲 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki


年間表彰台が遠のき、険しい表情を浮かべる室屋 (c)red bull年間表彰台が遠のき、険しい表情を浮かべる室屋 (c)red bull

 天候についても、室屋が飛ぶころには雨も完全に上がり、風はむしろ前日の予選時よりも弱まっていた。特別に難しい条件だったとは考えにくい。

 にもかかわらず、室屋はオーバーGを犯したのだ。

 悪夢のフライトからすでに2時間ほどが経ってもなお、落胆の色を隠し切れない室屋が、機体の解体が進むハンガーで重い口を開く。

「オーバーGはゲート3から4のコーナー。まったく予期していないところで起きた。今日は雨が降って気温が下がっていたので、空気が濃くなってはいた(その分、スピードが出た)とはいえ、それにしても......誰ひとりオーバーGにはなっていないコーナーだから」

 実は今回のレースの予選前日、G計測ユニットのソフトウェアが変更されていた。確かに急な変更ではあったが、それによってGの計測の仕方が少し変わっていることは、室屋も、そしてチームスタッフもつかんでいた。

 だが、室屋の操縦感覚で言えば、「今までなら絶対にオーバーGするはずがないコーナー」でのことである。少々計測の仕方が変わったからと言って、そこでオーバーGが起こるなどとは考えてもいなかった。室屋は険しい表情で「準備不足。そこはまったく対策ができていなかった」と悔やむ。

「今回のことは不運という面もないわけではないが、だとしても、もう少し準備をするべきだった。毎戦毎戦学ぶことは多いし、それなりに強くなっている。でも、本当に些細な準備不足によって、こういうことがレースで起きてしまう」

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