F1後半戦。「紳士をやめた」ロズベルグがハミルトンに反撃開始 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 たしかに他のドライバーに話を聞いても、ロズベルグのライン取りの是非は意見が分かれるところで、スチュワードがそう判断したからといって、全面的に接触の責任が彼にあるとは言い切れるものではなかった。

 いずれにしても、これまでは事件が起きても口論に応じない品のよさを貫いていたロズベルグが、このオーストリアの件では強行に持論を主張し、決してそれを曲げようとはしなかった。そこに彼の精神面の変化の兆しが感じられたのはたしかだ。

 スペインGPとオーストリアGPでの同士討ちで、取れたはずのワンツーフィニッシュをみすみす逃したことにチームは激怒し、ついには「コース上でのバトル禁止」といった厳しいチームオーダーの発令までも視野に入れた緊急議論の場を持った。今後は絶対にコース上での接触を起こさないように両ドライバーに約束させ、万が一、2台の接触が起きた場合には責任あるドライバーにそれ相応の代償を課すという紳士協定を結ばせた、と言われている。出場停止もあり得るといい、チームは断固とした姿勢を見せている。

 しかし、最終的にメルセデスAMGは、チームオーダー発令は見送った。F1全体の利益――つまり、ファンに面白いレースを提供するという意義を考えてのことだ。勝利を独占している者だからこそ、ショーとしての側面にも責任を持つ。こうしたメルセデスAMGの姿勢は、高く評価されるべきだろう。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る