A・イアンノーネMotoGP初優勝。逆襲のドゥカティ、9年ぶりのワンツー (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 運に恵まれないレースも、少なからずあった。特に2013年からドゥカティ・ファクトリーで戦うドヴィツィオーゾは、切れ味の鋭いブレーキングと冷静で理知的な分析能力が持ち味のライダーだが、今年の第2戦・アルゼンチンGPではドゥカティのダブル表彰台を目前にした最終ラップの最終コーナーで、イアンノーネのクラッシュに巻き添えを食う格好で転倒。続く第3戦のアメリカズGPも、表彰台争いの最中に他車に追突されてリタイアを余儀なくされた。

 一方のイアンノーネも、物議をかもす事態が続いた。

 チームメイトを撃沈させてダブル表彰台のチャンスを自らの手で潰した後も、第7戦・カタルーニャGPではホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)に後方から突っ込んで両者リタイア。そんな状況でも自分に非はないと公言してロレンソを激怒させたり、今回の予選でもタイムアタックの最中に他選手を愚弄したのしないので、水掛け論のような押し問答になった。

 125cc時代から彼の言動を近くで見てきた印象では、ずば抜けた速さを発揮する反面、いわゆる「一本足りない」と総称されるような、やや軽はずみな面が見え隠れすることもあるように見受けられる。ただ、イアンノーネは裏表のない正直な性格の持ち主で、何を訊いてもいつでも真摯に真っ正面から受け答えをする姿や、そんなときに少し照れた笑みをうかべる彼の表情からは、なんともいいようのない奇妙な愛嬌も感じさせる。

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