鈴鹿8耐は「ヤマハ2連覇」。リベンジ期すホンダを返り討ち (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ピットボックスでその作業を見守っていたヘイデンの表情からは、ぬぐいがたい悔しさがありありとうかがえた。2年連続のリタイアに見舞われたチーム監督の本田重樹の言葉にも、ふたたび抱えることになってしまった重い慚愧(ざんき)の念と、来年の雪辱に向けた決意がにじみ出ている。

「ライバル勢が強いことは明らかだったので、それを打ち負かすために、全員が一丸となってマシンをつくってきた。それに見合うべく、ライダーたちも全力でがんばって走ってくれた。2番手につけていればチャンスはあると思っていたが、ニッキーの走行中に残念なトラブルが発生してしまった。2年連続で失ってしまったタイトルを取り返すべく、来年に向けて今から準備を進める」

 鈴鹿8耐で27回の勝利を獲得してきたホンダ勢の、しかも、2013年と2014年に連覇を遂げたHARC-PRO.をもってしても、リベンジを果たすことは叶わなかった。そんな彼らの姿は、昨年と今年を連覇して無敵の最強時代を築きあげようとしているかに見えるヤマハ・ファクトリーもまた、その態勢はけっして盤石なものではありえない、ということの合わせ鏡であるかのようだ。

 表彰台の頂点に立つことができるのは、たったひとつのチームである以上、いつの時代も盛者必衰は世の理(ことわり)である。まさに常在戦場のレースという場に、安泰はありえない。来年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、また新たなドラマが繰り広げられることだろう。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る