鈴鹿8耐ヤマハ連覇を阻みたいホンダ勢。スズキ、カワサキも虎視眈々 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by MOBILITYLAND

 ほかにも、これらのチームに伍する強力な陣営に挙げられるのが、「ヨシムラスズキ・シェルアドバンス・レーシングチーム」と、「チームグリーン(カワサキ)」だ。ヨシムラはホンダ無敵艦隊を破って優勝を飾った第1回(1978年)の8耐から、"反骨精神の象徴"としてファンから強い支持を集めている。ライダーのラインアップはエースの津田拓也と、BSB(英国スーパーバイク選手権)王者で現在SBKに参戦中のジョシュ・ブルックス、そして8耐を知り尽くした芳賀紀行。

 チームグリーンは、カワサキの代名詞的ベテランライダー柳川明と、全日本でも切れ味のよい走りを見せている若手選手の渡辺一樹。このコンビに、今年は8耐で2度(2013年・2014年)の優勝経験を持つレオン・ハスラムが加わった。新型ZX-10Rの戦闘力も高く、今、ファンの熱い思い入れと期待がもっとも高まっているのはこのチームかもしれない。

 さらに、今年の8耐では「HondaブルーヘルメットMSC熊本&朝霞」「Honda緑陽会熊本レーシングwithくまモン」「日本郵便Honda熊本レーシング」の3チームにも注目したい。これらはいずれも、4月の熊本地震で被災したホンダ熊本製作所の従業員たちで構成されているチームだ。上記の優勝を争う各陣営とは実力面で大きな差があることは否めないものの、これら3チームが参戦する意義は大きく、彼らが真夏の8時間を走り切る姿は、復興に努力する人々を大いに勇気づけることだろう。

 どんな映画や小説にも不可能な、人の気持ちを強く揺さぶる何かが、今年も7月の最終週末を彩る。30日(土)の15時30分からは予選上位10チームがトップテントライアルでグリッド位置を競い、31日(日)の11時30分、一瞬の静寂を破るル・マン式スタートとともに、8時間の激闘がスタートする。

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