【エアレース】室屋義秀が「敗れても強い」ファステスト・ルーザーに (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 第2戦まで悩まされたオーバーG対策も、ほぼ完璧にクリアされた。オーバーGで失格となる危険性を覚悟しつつ、大きなGをかけてターンするようなリスクを、今の室屋は負ってはいない。「フライトを完全にコントロール下に置く」とは、そういうことだ。室屋は「気流が悪くなかったら、もっとタイムを詰められる部分はあったが、今日は無理をして攻めるコンディションではなかった」と言い、納得の様子でこう語る。

「ここは手堅くいって、ポイント固めをちゃんとしておけばいいやというレースだったし、そのなかで5位は上出来。無難にポイントを重ねることができたから、結果としてはそんなに悪くないと思う」

 とりわけ笑顔を見せるわけでもなく、だからと言って不満げな顔を見せるわけでもない。淡々とレースを振り返る室屋に、初優勝が自信にこそなれ、その結果に踊らされている様子はまったくなかった。

 優勝から5位へ、順位は下がった。だが、室屋には確かな実力が備わってきている。そのことが、またひとつ違う形で証明されたレースだったのではないだろうか。

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