アロンソ爆発寸前。マクラーレンの消極策と
「小学生レベルのミス」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 マクラーレンも、前戦オーストリアで投入した新型フロアにさらなる小変更を加えて持ち込んだ。これが金曜日にはひとつしか間に合わずアロンソ車に搭載され、土曜の未明に完成したふたつ目のフロアを早朝に夜間作業禁止規定を破ってまでバトン車に搭載した。

  しかし、FP-3(フリー走行3回目)のわずか1時間の走行のみで予選に臨まなければならなかったバトンは、その新型フロアとリアウイング翼端板の接着箇 所が予選Q1最初のアタックで剥がれ、それ以上の走行ができなかった。高速コーナーが多く、マシンの総合力が問われるシルバーストンだけに、アロンソの走りはマシンの進化に手応えを与えてくれたが、バトン車にはあまりにお粗末なトラブルが起きてしまった。

 前戦オーストリアGPの予選では、アタックに出て行こうとタイヤウォーマーを外すと、本来履くはずの新品ではなく中古タイヤがついていた......という失態もあった。アロンソが「小学生レベル のミス」と厳しい言葉で非難したが、イギリスGP決勝中の戦略に対する彼の不満は、こうしたマクラーレン・ホンダ全体を包む雰囲気によるものだった。

 マシンもパワーユニットも確実に進歩しているが、3強チーム以下の中団は依然として大混戦。それだけに、こうした残念なミスが結果に直結する。そして逆に、チャレンジ精神があれば大きく浮上することも可能かもしれない。

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