「ホンダは誰と戦っているのか」長谷川F1総責任者に序盤戦を聞く (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 そんななか、マクラーレン・ホンダ勢はトウを使ったジェンソン・バトンでさえ349.1km/hにとどまった。

「ドライバーたちは、『ストレートが遅い! 遅い!』とばかり言っていました。クルマのセッティングはうまく決まっているんですけど、ロングストレートが厳しいですね。それ以外ではそんなに悪くないんですが、ストレートで失う分をどれだけ小さく抑えられるか――というのが勝負になると思います。言いたくないけど、まさしくパワー不足のせいですね」

 長谷川総責任者は、素直にそう認めた。

 前戦のカナダGPで投入した新型ターボチャージャーはしっかりと威力を発揮し、長いストレートでもメルセデスAMGと同等か、それ以上に長くERS(エネルギー回生システム)のディプロイメントを続けていた。2人のドライバーたちも、「僕たちよりもディプロイメント時間が短いマシンもいた」ことを確認できたと証言している。

 しかし、長いストレート以外は市街地のなかを縫うように走るバクー・シティ・サーキットを速く走るためには、やはりダウンフォースが必要だ。純粋なラップタイム、つまり予選を取るか――、ストレートの最高速、つまり決勝でのバトルを取るか。

 カナダGPと同じ悩みを突きつけられたマクラーレン・ホンダは、今回は後者を選んだ。

 もちろん、ウイングを寝かせれば空気抵抗が減る分、燃費もよくなるという利点があり、カナダGP決勝で燃費に苦しんだ教訓もしっかりと生かされていた。

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