弱小チームにもテキサス魂あり。佐藤琢磨がインディ後半戦に手応え

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 勝とうと思ったら、少なくともライバルたちと同じようにテストを行なう必要がある。彼がそう考えるのは当然だ。

 しかし、フォイト・チームのクルーたちは、4月末のインディ500用テストから、週末の休みを1度もとらずに働いてきている。インディ500開催期間中は週7日労働だった。もはや疲労は溜まりに溜まっていた。チーム代表のラリー・フォイトは、まだシーズンが折り返し点ということもあり、クルーたちに束の間の休息を与える決断を下したのだ。

 AJ・フォイト・レーシングは、テキサス州のヒューストン郊外にファクトリーを構えている。インディ500優勝4回、インディカー通算68勝を挙げた伝説のドライバー、AJ・フォイトは地元テキサスにこだわっており、テキサスから全米各地での戦いに出向いて行くことを、チームも誇りと感じている。しかし、地理的には明らかに不利で、チームの足枷になっている。

 例えば、他の多くのチームのように本拠地がインディアナポリス近郊であれば、車で走って行けるレース開催地も少なくない。ロード・アメリカへは陸路で6時間ぐらいだ。

 インディアナポリスをベースにするメリットは他にもある。

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