10年ぶりの下克上。非ワークスの
ジャック・ミラーがMotoGP初優勝

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今シーズンの開幕前にはトレーニング中に右脚を骨折し、その後も第3戦(アメリカズGP)のプラクティスで転倒して右足中足骨を負傷するなど、厳しい試練が続いた。レースに復帰後、足の様子を尋ねると、「痛みには対応できるんだけどね、切り返しなどでステップを踏み替える作業が厳しくて、どうしても動きがワンテンポ遅れてしまうんだ」と、気さくな笑顔で答える。そんなときには、21歳という年齢相応の、素直な若者の一面が垣間見えた。

 彼の言動がときにふてぶてしいように誤解されるのは、その若さゆえの敏感さが、やや過剰な反応として表れてしまうこともあるからなのかもしれない。昨年のミラーは、最高峰クラスに順応するために懸命の努力を続けていた。当時、チームメイトだったカル・クラッチロー(LCRホンダ)からは多くのことを学んだと、今年のシーズン開幕時に振り返ってこんなことも話していた。

「カルからはバイクの乗り方だけでなく、ライフスタイルやトレーニング等も含めて、すごくいい影響を受けたと思う。彼のアプローチから本当にたくさんのことを学んだし、今はそれを少しでも自分に取り入れようとしているんだ」

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