10年ぶりの下克上。非ワークスのジャック・ミラーがMotoGP初優勝 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 実際に、最高峰初年度の2015年は苦戦続きで、めざましい成績を残すことはできなかった。チャンピオンシップポイントは、わずか17点を獲得したのみで、ランキングは19位という低迷した成績で終えた。シーズン終了後に、HRCのある幹部は、「過去の歴代王者だって、チャンピオンを獲得するまでには何年もの時間がかかっている。20歳そこそこの若者に1年目から好成績を求めるのは酷というもの。もう少し長い目で見守ってあげたい」と話した。

 とはいえ、ミラー自身はやはり、芳(かんば)しい成績を挙げられないことにもどかしさも感じていただろうし、"飛び級昇格"を批判する声に対しては、腹が据わったようにも見える平素の言動とは裏腹に、やはり敏感に受け止めてもいたようだ。

「Moto3からMotoGPへのステップアップでは、ものすごくたくさんの批判をされたけど、自分を支え続けてくれたホンダと僕の家族には本当に感謝をしている。今回のレースでいい結果を獲得できたのはうれしいけど、現実には、僕はまだ学習過程の段階だ。でも、バイクの乗り方をしっかり習得していることは、今日の結果で示せたと思う。僕がそんなにバカじゃないってこともね」

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