トヨタの悲願達成ならず。中嶋一貴が語ったル・マン24時間のラスト3分

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken 写真提供:トヨタ自動車

 レースは序盤からトヨタ、ポルシェ、アウディの3メーカーの6台がまるで予選アタックのようなペースで競い合い、目まぐるしくトップが交代する超接近戦を見せる。

 そんななか、序盤でアウディの2台がトラブルで後退。鉄壁の体制で「大本命」と見られていたポルシェもまた、ナイトセッションに入った深夜12時前に1号車がトランスミッションのトラブルに見舞われ、ピット作業で1時間近くを失って大きく順位を落とす。

 トヨタもまた、中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ組の5号車がパワートレイン系のセッティングによるタイムロスや、タイヤ交換直後にバイブレーションが発生したことで予定外のピットインを強いられたものの、こちらは最小限のタイムロスに留めることに成功。

 一方、小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ組の6号車は、最初のスティントで最速ラップを叩き出す可夢偉の貢献もあり、レース開始から5時間を経過した時点でトップを快走した。

 やがて、序盤のタイムロスを取り戻したトヨタ5号車もこのトップ争いに合流すると、レース中盤以降は5号車、6号車の2台のトヨタとポルシェの2号車(ロマン・デュマ、ニール・ジャニ、マルク・リープ組)の3台による三つ巴の展開が繰り広げられる。

 その後、トップにトヨタ5号車、2番手にポルシェ2号車、その後ろにトヨタ6号車というオーダーでレースは終盤へと突入。2位ポルシェとは「30秒」という僅差で、5号車は最後のドライバー、中嶋一貴に託されることになる。

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