ホンダも疑問。ドライバーのモチベーションを奪ったチーム戦略 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 事実、カナダGPの決勝では、それが現実のものとなってしまった。

 フェルナンド・アロンソは10番グリッドからスタートしたが、最初のピットストップでピットシグナルの不調により5秒近くをロスし、ハースのロマン・グロージャンとトロロッソ勢に先行を許してしまうと、その後は燃費セーブとタイヤマネージメントで厳しい走りを強いられた。

「もう一度ピットストップさせてくれ。フレッシュなスーパーソフトに換えてプッシュしようよ」

 セルジオ・ペレス(フォースインディア)、ダニール・クビアト(トロロッソ)に抜かれたアロンソの心は折れかけていたが、レースエンジニアが、「最後まで耐えれば上位で何かあったときに入賞できる」となんとかコース上に留めたほどだった。

 ジェンソン・バトンはギアボックスからのオイル漏れが発生し、パワーユニットにダメージはなかったが、駆動を失って早々にリタイアを余儀なくされていた。そしてアロンソも、入賞圏に手が届かないままチェッカードフラッグを受けた。

 トップ10に食い込んだ予選と比べ、決勝での走りは精彩を欠いていた。

「(ドライバーが)燃費セーブをかなりしていたので、その影響が大きかったんです。今回のTC改良で増えたエネルギー回生量をディプロイメント側に使うのか、燃費セーブ側に使うのかという戦略に関して、今回はラップタイムを取りにいこうということだったんです。もっと燃費側に振っていれば、燃費セーブをしなくてもすんだんですが、ベストパフォーマンス側に振ったので、結果的に燃費が足りなくなってしまった。ドライバーにフルアタックでずっと走り続けさせてあげられなかったという点は、やはり残念ですね」(長谷川総責任者)

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