ホンダも疑問。ドライバーのモチベーションを奪ったチーム戦略 (2ページ目)
全開区間で120kWのディプロイメントを上乗せすれば、もちろんそれだけ速く走ることができる。しかし、ICE(内燃機関エンジン)で燃料を燃やす代わりにディプロイメント――つまり電気を使って走れば、燃費はセーブできる。限られたディプロイメントを1周のなかでどう使うのがベストなのか、そこには絶妙な計算とさじ加減が必要なのだ。
TCを改良し、ディプロイメントが増えたことで、その選択肢も増えた。
「MGU-Hで回収した電気を全部パワー側に使えば、ラップタイムを上げることができますし、燃費セーブ側に使えば、燃費が向上するので、そのあたりの選択肢は増えてきます」
レースなのだから、ラップタイムは速いほうがいいに決まっている。
しかし今のF1では、305kmの決勝レースを戦うのに、100kgの燃料しか使用することが許されない。ストレートが長く全開率の高いカナダGPでは、メルセデスAMGでさえ燃費セーブのためにペースを落とさなければならないほどだ。
いくらラップタイムを速くしても、燃料が足りなくなってドライバーがスロットルを戻す"リフト&コースト(※)"を強いられるようでは、結果的に遅くなってしまうこともある。
※リフト&コースト=ドライバーがアクセルをオフにして惰性でクルマを走らせること。
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