日本人初のモナコ制覇。GP2松下信治が語る「F1への想い」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 レース1の8位と9位では、天と地ほどの差がある。それがGP2だ。松下は前走車にペナルティが科せられることも確信したうえで、自分が置かれた状況のなかでレース2のポールという最良の展開を掴み取ったのだ。

 日本とは違い、アグレッシブなヨーロッパのレースのなかでも、もっとも競争が激しく荒っぽいと言われるGP2――。そのなかで戦い抜くには、速さはもちろんのこと、激しいバトルでも押し負けない冷静さと、ふてぶてしさが必要だ。松下には、そういう図太さがある。

 今年2月、松下はマクラーレン・ホンダのテストドライバーに任命された。

 ホンダの育成プログラム「HFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)」の一員として、全日本F3選手権チャンピオンに輝いた翌2015年に、GP2に乗り込んだ。初年度にして1勝を挙げ、表彰台は計3回。図太いレース運びもさることながら、ほとんど英語ができないまま単身パリに移住し、いつの間にか英語も上達してチームに馴染んでしまったあたりも、どこか小林可夢偉と重なるところがある。

「まずは、ここで結果を出すこと。今の自分にできるのはそれだけです。そうすればいずれ、F1への道も自然と見えてくるんだと思います」

 GP2参戦当初は、そう語っていた。

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