インディ第8戦でウィル・パワー復活。佐藤琢磨はマシンが決まらず沈む (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 レースに出場する側にすると、ダブルヘッダーはなかなか大変だ。ふだんは3日間で予選を含めた1レースを行なうのだが、そこに予選2回と決勝2回を押し込んじゃうのだから、マシンを調整するための走行時間が少なくなる。トラブルは小さなものでダメージ甚大。セッティングがうまく進めば2レースを気持ちよく戦えるけれど、セッティングで躓いたらマシンが不完全なまま2レースを走る苦悩が待っている。

 ドライバーが無理をしてマシンを壊せば、チームに与える悪影響はあまりにも大きい。経済的にも痛いが、4月下旬から休みなく働き続け、疲労困憊しているクルーたちにマシンの修理という仕事を増やしてしまうからだ。デトロイトの翌週はテキサスで第9戦がある。マシンをオーバル用にコンバートする作業も彼らはこなさなくてはならない。

 デトロイトの走行時間の短さは、2週間にわたるビッグイベント、インディ500の直後だから、なおさら強く感じる。インディでは予選だけで2日間、プラクティスは7日間もあった。それも、初日は4時間、翌火曜からの4日間は各6時間、予選後の月曜は3時間半、決勝前の金曜は1時間と、比較にならないぐらい走行時間が多かった。「条件はみんな同じ」と、デトロイトでドライバーたちが不平を口にすることはなかったが、マシンの仕上がりの善し悪しは、こういう短時間勝負でより大きく現れる。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る