若いライダーの命が、ロッシとマルケスの遺恨を修復に導いた (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 レースを終えてマシンが戻ってきたパルクフェルメでは、それまで目も合わせようとすらしなかったふたりが互いの健闘を称えて握手を交わし、笑顔も見せた。

 表彰式後にマルケスは、「MotoGPにとってつらい週末になったけれども、MotoGPファミリーとして皆が結束できたレースウィークでもあった。決勝グリッドについて、皆がルイスのために走り、ルイスにレースを捧げ、ライダー全員がルイスのことを思いながら走った」と、この週末を振り返った。そして、優勝を飾ったロッシは、「あんな出来事があったあとでは、他のことは些末に思える。だから、そう(関係を修復)するのが相応しい時期だと思ったんだ」と述べた。

 ひとりの若い選手の命が失われたあまりにいたましい事故が、こじれにこじれて改善不可能と思われた選手たちの関係を修復へと導いたのであれば、以て瞑すべし、というべきではあるかもしれない。とはいえ、「こんなことは、もう誰の身にも絶対に起こってほしくない」(ビニャーレス)という思いこそは、パドックですごす全員の共通した願いではある。

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