若いライダーの命が、ロッシとマルケスの遺恨を修復に導いた (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 日曜の10時15分には、パドック関係者全員がスタートラインに集合し、1分間の黙祷が捧げられた。Moto3時代からMoto2時代に好敵手だったマーベリック・ビニャーレス(チーム・スズキ・エクスター)は、「あまりに込み上げてくるものがあって、涙を堪(こら)えるのが難しかった」と語った。

 Moto3の決勝レースでは、同じスペイン出身のホルヘ・ナバロが優勝。Moto2クラスは、サロム選手と何度も激しい優勝争いを繰り広げてきたヨハン・ザルコが優勝した。表彰台に登壇した全員が故人を追悼するTシャツをまとって天を仰ぎ、それぞれの思いを捧げた。

 MotoGPクラスの決勝レースは、14時にスタートした。

 バレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスの一騎打ちとなった優勝争いは、ロッシの背後にマルケスがピタリとつける緊迫した展開が続いた。この両選手は、昨年に何度か物議を醸すバトルの挙げ句、第17戦で苦い遺恨を残すマルケスの転倒劇へと発展し、兄弟のようだった関係に修復不可能な深い亀裂が入った。その両名が、サロム選手を喪ったバルセロナ・カタルーニャ・サーキットでふたたび、二輪ロードレースの醍醐味を凝縮したような激しいバトルを繰り広げ、最後はロッシが優勝。マルケスは2位でチェッカーフラッグを受けた。

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