【エアレース】「PR部長」から「勝負師」へ。室屋義秀がついに初優勝 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 もちろん、プレッシャーは大きかったはずだ。多くの注目を集める分、昨年と同じような成績に終われば、「こんなものなのか」と、世間の関心が離れていきかねない。

 しかも、昨年はメディアの側が“勝手に”室屋の優勝を期待していただけだが、今年に関していえば、室屋自身が「年間総合優勝」が目標であることを実際に口にしたこともある(その後、導入が予定されていたウイングレットの使用が認められないアクシデントがあり、「年間総合で表彰台」に目標は下方修正されたのだが)。

「昨年よりも期待されているような気がする。昨年は誰が言い出したのか、周りが勝手に優勝とか言っていたが、今年は僕自身が言っていたので。でも、それだけのポテンシャルは十分あるので、期待してもらっていいじゃないかな」

 室屋はそう語り、メディアやファンの期待を受け止めながらも、決して浮かれることなく、あくまでも勝利に向かって準備することに集中していた。

集まったファンの期待に応え、見事なフライトを見せた室屋 (c)red bull集まったファンの期待に応え、見事なフライトを見せた室屋 (c)red bull 同時に、「チームとして100%の力を出せば、結果はついてくる」「そんなに(オーバーGを)心配しなくても、淡々とやっていけば、ファイナル4には残っていける」といった言葉からは、あふれんばかりの自信もうかがえた。

 室屋は今年、“PR部長”も兼任していた昨年から一転、パイロットに専念した。結果が出た今となっては、飛ぶ前から勝つための準備は整っており、勝つべくして勝ったレースだったのだ、と言っていいのかもしれない。

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