インディ500優勝の新人ロッシとホンダが挑んだ驚異の「燃費作戦」

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano   松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 今シーズンのインディカー・シリーズは開幕から5戦目までシボレーが全勝。そして去年のインディ500もシボレーが圧勝している。今年はホンダにとってより厳しい戦いとなるものと考えられていた。しかし、歴史的レースで彼らは今シーズン初勝利を挙げた。

 レースを引っ張っていたライアン・ハンター-レイとタウンゼント・ベル(ともにアンドレッティ・オートスポート)が117周目のピットロードでぶつかって優勝戦線から脱落した時、ホンダの優勝はなくなったかに見えた。しかし、彼らにはまだまだ戦力が残されていた。163周目に佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)のアクシデントで出されたフルコースコーションの後、ゴールまで残り33周でグリーンフラッグが振り下ろされると、カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)がついに本領を発揮した。

 勝負の時を待ち続けていたムニョスは、インディ500での優勝経験を持つトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)、ジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)らと争い、194周目にトップに躍り出る。196周には彼も給油のためのピットインを行なったが、カナーンとニューガーデンの前へとピットアウトした。レースリーダーの座はロッシが手にしていたが、彼がゴールまで走り切れるとは思えない状況だ。全力でチームメイトを追ったムニョスは、しかし4.4975秒届かずの2位となった。

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