ダブル入賞にだまされるな。モナコで露呈したホンダの厳しい現実 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「もう少しサスペンションを柔らかくすべきだった」

 あるエンジニアは長谷川にそう漏らしたという。つまり、空力性能を優先するがために脚回りを硬くしすぎ、メカニカルグリップを犠牲にしすぎたのだ。ピレリのエンジニアは、「作動温度領域が高いソフトタイヤならいざ知らず、低めのウルトラソフトとスーパーソフトではその温度領域に入れることなど、それほど難しくはないはずだ」と語っている。メカニカル面をきちんと機能させていれば、タイヤの扱いにもそれほど苦労することはなかったのではないかと考えられる。

「お互いに批判し合うようなこういうことはあんまり言いたくないんですが、レース週末へのアプローチの仕方がね......。ウチのパワーユニットも開幕戦では性能を出し切れていなかったのが、ようやく出し切れるところまできたわけで、そういう意味では車体のほうがそういうところ(の伸びしろ)が大きいのかもしれません」

 決勝は、雨からドライへと変わる混乱のなかでポジションを上げることに成功した。しかし、レース最終盤、5位を走るアロンソの後方には首位集団が迫ってきた。周回遅れにされるかもしれないという無線を受けると、アロンソは言った。

「耐えなきゃいけない時間が1周少なくなるから、それはラッキーだ!」

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