ダブル入賞にだまされるな。モナコで露呈したホンダの厳しい現実 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 予選後、「この結果を見ても、まだ3番目のシャシーだと言えるのか?」と尋ねられたエリック・ブリエ(スポーティング・ディレクター)は、自説を曲げずに主張し、失笑を買った。

「いい質問だ。データやGPS(による運動性能分析)を見れば、そうだということがわかる。今週はタイヤの性能を引き出すのに苦労し、ドライバーたちが限界までプッシュするのを妨げているんだ」

 前回のスペインGPでバトンのみが使った新型フロントウイングは、今回は2台ともに用意された。たしかに、データ上では発生させられるダウンフォースの量も、空力効率も向上しているのだろう。

 しかし、それを使いこなせなければ、意味がない。

 長谷川総責任者は、ブリエが依然としてそう主張しているのを聞いて苦笑いしつつ、そこが問題なのだと言う。

「たしかにエレメントごとの性能、フロントウイングのダウンフォース量など、個々に目を向ければ確実に進歩はしています。それ自体がフォースインディアに大きく負けているとは思わないんですけど、どうしてそれをうまくまとめられないのかというところで......」 

 具体的に言えば、モナコの場合はタイヤのウォームアップに苦労した。フロントタイヤが先に温まってしまい、まずはオーバーステア。しばらくして、リアが温まってきたころにはフロントのピークが過ぎていてアンダーステアに落ち着くという、グリップの"美味しい時期"がない前後バランスになってしまっていた。

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