0.019秒差でロレンソが「再々々逆転」。歴史に残るファイナルラップ (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「今年のホンダはエンジンが少し厳しいようなので、それで立ち上がりでスピードを上げてリカバーできた」(ロレンソ)

「(最後の勝負に出て)ゴール手前まではうまくいったんだけどね、最後の15メートルで抜かれちゃったよ」(マルケス)

 緊迫感に充ちたふたりの戦いは、0.019秒差でロレンソが"再々々逆転"に成功し、劇的な勝利を収めた。これでチャンピオンシップポイントは、ロレンソ=115、マルケス=105となり、両選手のホームグランプリである第7戦のカタルーニャGPへと向かうことになった。

 一方、このムジェロ・サーキットを地元とするバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、土曜の予選でポールポジションを獲得し、スーパースターの地元優勝に期待を膨らませるファンが会場を埋め尽くしたが、トップグループを争っていた9周目にエンジンがブローし、リタイアを余儀なくされた。サーキットの至るところでロッシカラーの黄色いシャツを身にまとった大勢のファンはもちろん、ロッシ自身がもっとも意気消沈する結果となった。エンジントラブルさえ発生しなければ、確実に優勝が見える仕上がりだっただけに、レースを終えて1日の戦いを振り返る彼の表情は、笑顔を浮かべてはいるものの、やはり悄然(しょうぜん)とした気分は隠しきれないように見えた。

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