F1最年少優勝を自ら引き寄せたフェルスタッペン「18歳の冷静力」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 しかし、フェルスタッペンは冷静だった。レース全体を見据え、理解し、自分がなすべきことをしっかりと把握していた。

「あのまま最後まで走り切らなければならないことはわかっていたんだ。だから最初の数周は、(タイヤをいたわるために)それほどプッシュはしなかった。フェラーリのほうが僕らよりも少し速いのもわかっていたから、キミが僕に追いつくのは構わないで、ギャップをコントロールすることだけを考えていたんだ。特に最初の10周が重要なんだ。プッシュするのではなく、コントロールしなければならない」

 非力なルノー製パワーユニットでは、長いストレートでフェラーリの速さに対抗できないのではないか? そんな不安は、チームにはなかった。

「我々はストレートの最高速を稼ぐために、リアのモンキーシートと呼ばれるウイングレットを外したり、ウイングの仰角を浅くしたりといった工夫はした。加えて、我々は最終コーナーのトラクションが優れていたので、コントロールラインまでに後ろのキミを引き離して、彼がDRS(※)を使っても、ターン1までにオーバーテイクするのには十分でないところまでもっていくことができたんだ」(ホーナー代表)

※DRS=Drag Reduction Systemの略。ドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 フェルスタッペンが冷静になれた理由のひとつが、それだった。しかし、終盤はタイヤのグリップが低下し、マシンはあちこちで滑り回っていたというのに、フェルスタッペンは18歳とは思えない老成ぶりで落ち着き払ったドライビングを続けた。

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