【エアレース】それはないんじゃないの。再び失格に室屋義秀の怒り爆発 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 室屋が新しい計測機器を搭載して飛んだのは、実質3回のトレーニングセッションだけ。これでは必要なデータを取り切ることができず、オーバーGになるかならないかのリミットを完全に把握できたはずがない。

 加えて運が悪いことに、余計なトラブルが重なったのも痛かった。予選の数時間前に行なわれた最後のトレーニングセッションの途中、室屋の飛行機から突然スモーク(煙)が出なくなったのだ。

 飛行機から噴き出るスモークは、ワックスのようなオイルを排気に噴射し、その熱によって白く目に見えるようになるのだが、その噴射ポンプが電気系統の故障により動かなくなってしまったのである。

 スモークを出して飛べなければ1秒のペナルティタイムが加算される。室屋はこれが響いて、予選を10位で終えることになった。その結果、ラウンド・オブ・14で対戦することになったのが、マティアス・ドルダラー。結果的に第2戦で優勝する難敵である。

 「ラウンド・オブ・8に進むには、マティアスに勝つか、ファーステストルーザー(敗者のなかの最速タイム)になるかしかない。今季、マティアスの機体が速いのは分かっていたので、とにかく攻めるしかなかった。ソフトに飛べばオーバーGは避けられても、それでは勝てないから」
 
 果たして勝負に出た室屋は、必然とも言えるオーバーGによって、自らの戦いに幕を引いた。

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