【エアレース】それはないんじゃないの。再び失格に室屋義秀の怒り爆発 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 だが、そんな努力にも限界があった。現状の計測システムに合わせて飛んでいたのでは、どうやっても勝負にならない。プログラムに問題がなくなったのであれば、機械自体が壊れているのではないか。そう考えた室屋は計測機器本体の交換を願い出た。

 なかなか首を縦に振らないテクニカルディレクターがようやく求めに応じたのは、室屋がシュピールベルグに入ってからのことだった。

 機械を入れ替えて飛んでみると、Gの数値には明らかな変化が起きた。昨季までと完全に一致はしなかったが、それに近い数値が計測されるようになった。室屋の予想通りだった。しかし、第2戦に間に合わせるには、あまりにも交換のタイミングが遅すぎた。

 「開幕戦が終わってから何度も(テクニカルディレクターに)問い合わせたが、向こうは『合っている』と言う。それに合わせようと1か月間やってきたが、どうにもおかしいのでユニット自体を替えたら、案の定、Gの数値はほぼ元に戻った。一応、昨年最終戦のセッティングに戻して飛んだけど、その結果がオーバーGで……」

 そう語る室屋は、険しい表情を崩さずに続ける。

 「トレーニングセッションは何とか飛べていたが、今日のレースは風の関係で予選よりもスピードが出るのも分かっていて、ちょっと危ない(オーバーGになる可能性がある)とは予想していた。だから、そこで適応し切れなかった僕のミスと言えばそうかもしれないが、『ちょっと、それはないんじゃないの』と言いたくもなる」

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