スーパーフォーミュラ開幕。本気の小林可夢偉「僕は逃げませんよ」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文・写真 text & photo by Yoneya Mineoki

 しかし、今年の可夢偉は違う。

「ミーティング後に僕が(全ドライバーが集まる)ドライバーズブリーフィングから帰ってきたころには、『これだよね』って僕に確認することもなく、もうマシンのセットアップが変更されてましたからね。(担当エンジニアの山田)健二さんと僕の間の共通認識として、この辺が問題だろういうのがわかってたんです」

 可夢偉とチーム・ルマンは、冬の間にじっくりと腰を据えて準備を進め、自信を持ってシーズンに臨んでいた。

「この冬のテストの間に、ダメなのがわかってるけどあえて、『こういうことをやったらこうなる』っていう"ダメ出しセット"をひと通りすべてやってたんですよ。だからこうなったときに、『これとこれだ』っていうのが見えてたわけです」

 翌朝のフリー走行は2位。マシンは劇的に良くなっていた。

 予選は20分間のQ1が5位、7分間のQ2が2位。ホンダ勢が明らかに強さを見せ、トヨタ勢が次々と脱落していくなかで、可夢偉はトヨタ勢で最速の存在だった。

 ホンダの山本尚貴が圧倒的に速い。しかし、可夢偉はポールポジションも狙えるかもしれないと思った。

「よーしっ!」

 セクター1を好タイムで通過したのを見て、山田エンジニアが強く拳を握る。しかし、攻める気持ちが限界を超えさせ、その先のデグナーカーブで可夢偉はコースを飛び出してしまった。

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