ヤマハで3度王者に輝くロレンソが
「ドゥカティ移籍」を決めた心境

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

高いパフォーマンスで圧勝したバレンティーノ・ロッシ高いパフォーマンスで圧勝したバレンティーノ・ロッシ その最大のライバルのひとりであるマルケスは、今回のレースを3位で終え、表彰台に日本の国旗を持って登壇した。今回のレースウィークでは、マルケスをはじめとするホンダ勢の全選手がマシンのカウルに、「がんばろう九州」「がんばろう熊本」というステッカーを貼って走行していた。

 今回の地震で大きな被害を被った熊本には、ホンダの製作所がある。ここではCBR1000RRやCB1300SF等の二輪車を中心に多くの製品を製造しているが、現在は操業を停止している。ホンダにとって縁の深い土地でもあるだけに、彼らが掲げた日の丸やステッカーには、九州の被災者やその関係者を支援したいという意思がよく表れている。そこで、表彰式後のマルケスに、日本の国旗を持って登壇した思いを訊ねてみた。

「今回、日本で起こったことには、とても心配をしているんだ。だから、バイクにもステッカーを貼って走ったし、表彰式では日本の国旗を持って上がった。日本の人々に対してはもちろんだし、それが世界のどの場所であっても、このような出来事があったときには、ぼくたちは現地の人々と助け合う気持ちを表明したいと思っているんだ」

 さらにもうひとつ、2位のロレンソに関する話題にも触れておこう。3月末の開幕戦から水面下でささやかれていた来季のドゥカティへの移籍を、今回のレースウィークに先立って正式発表したことで、第4戦のレースウィーク前半は、むしろ彼が話題の中心を占めていた感も強かった。この移籍に関して、巨額の契約金が用意されたのも事実のようだし、チームメイトのロッシとの確執も要因のひとつであることは間違いないだろう。だが、それよりもロレンソが移籍を決意した最大の理由は、ライダーとしての矜恃(きょうじ)に関わるものであったように思われる。

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