ホンダ勢トップの佐藤琢磨。インディ第3戦は「望み得る最高の成績」 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 明けた日曜日も、ロングビーチは雲ひとつない快晴になった。強い日差しが照りつけ、路面の温度は朝からジリジリと上がっていった。暑さの中で1.968マイルのコースを80周するレースでは、タイヤへの負担が大きくなると予想された。

 琢磨は予選で数周を走ったレッド・タイヤ(柔らかいコンパウンド)を装着してスタートを切った。新品のレッドはレースの最後で使う作戦だ。スタートが得意な琢磨だが、今回は8位をキープ。そこから25周にわたってポジションを守り、ピットロードに滑り込んできた。

 燃料を補給し、タイヤをブラックに換えてコースに戻ると、琢磨の順位は7位に浮上していた。ピットストップ作業の差でヒンチクリフの前に出たのだ。

 レース中盤は膠着状態に近く、琢磨はポジションキープのまま2回目のピットストップに向かう。今年のレースではアクシデントがゼロで、ストップするマシンもなかったことから、イエローフラッグが一度も出されなかった。レースはハイペースで進み、同時に燃費セーブの重要性が高まった。

 琢磨は1回目の走行より3周長く走って2回目のピットストップを行なった。装着したのはもちろん新品のレッドだ。この作戦が功を奏し、琢磨はチーム・ペンスキーで走る強敵ウィル・パワーの前へ、ひとつポジションを上げてレース復帰を果たした。クルーのピット作業の速さと、ピットアウトからの琢磨の攻めの走りによって順位を入れ替えることに成功したのだ。

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