ホンダを覆う「どんよりした空気」。
2台完走もドライバーは不満顔

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ピレリのあるエンジニアはそう説明する。タイヤをうまく手なずけたトップチームはそれができているが、マクラーレンにはまだそれができていないということになる。

 それだけでなく、戦略面でも完璧だったとは言いがたい。2ストップ作戦を採ったアロンソも、3ストップ作戦に切り替えたバトンも、戦略に疑問を持っていた。それが、レース後のどんよりとした雰囲気につながったのだ。

「2ストップ作戦がうまくいかなくて、最後にスーパーソフトでアタックするトライをしたけど、それもうまくいかなかったんだ。ミディアムタイヤで走ることが正しかったのか、きちんと分析する必要があると思う。まったくグリップがないし、一瞬たりともこれが正しいとは思えなかったからね。正しい戦略選択をしていれば、ポイント争いをするチャンスはあったと思う」(バトン)

 長谷川総責任者は「これが今の実力」と語ったが、それはマシンパッケージの実力ではなく、チーム全体として、レース全体をどうマネージメントするかというところまでを含めた実力、という意味だ。今のマクラーレン・ホンダには、マシンパッケージの実力はQ3に進み、ポイント圏内でフィニッシュするだけのものがありそうだが、それを引き出すまでの力がない。もしくは、そう簡単に引き出せるクルマに仕上がっていない。そういうことだ。

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