【F1】ホンダの新人バンドーン初入賞も、気がかりな総帥の口出し (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 金曜の朝8時45分にバーレーンに到着したバンドーンは、ホテルのチェックインだけを済ませて、技術作業の開始時刻である11時過ぎにはサーキットにやって来た。そして、ピットガレージですでに「47」のレースナンバーが刻まれた『MP4-31』のコクピットに乗り込み、シート合わせやエンジニアとの打合せを行ない、午後2時からのフリー走行に臨むこととなった。

 昨年型マシンでのテストは何度も経験し、チームのシミュレーターでは今季型MP4-31も十分に疑似体験している。しかし、MP4-31の実車に乗るのも初めてなら、F1のレースも初めてだ。さすがに金曜の朝は表情も硬かったが、フリー走行が始まるころには「いつものバンドーン」に戻り、落ち着いてプログラムをこなした。

 昨年、圧倒的な強さでGP2のチャンピオンとなったベルギー人ドライバーのバンドーンは、一発の速さも、バトルでの強さも、ペースコントロールもすべてが揃ったドライバーだ。それを可能としているのは、頭脳明晰で常に冷静な彼のメンタリティだともいえる。このバーレーンでも2年で計3ラウンドを経験して優勝もしているだけに、勝手知ったるサーキットだ。

 一方、レース週末を戦う上でチームを牽引する立場になったジェンソン・バトンは、FP-2(フリー走行2回目)で3番手タイムを記録して周囲を驚かせた。「あれが軽タンクでのタイムだったとしても、十分に驚異的だ」とレッドブルのダニエル・リカルドは言ったが、チームは燃料を軽くしてタイムを狙いにいったわけでもなく、通常どおりのプログラムをこなすなかで自然に出た好タイムだった。それだけに、チーム内では初のQ3進出に寄せる期待はかなり高まっていた。

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