【F1】大混乱を招いた「新予選システム」は
いったい何だったのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 いい仕事をした者が飛躍する仕組みではなく、ミスを犯した者を引きずり下ろすシステム。ミスを犯させようとするシステム。それによって波乱は生じたとしても、そこに真の感動は生まれないのではないだろうか?

「ところでさ、みんなは本当に予選が面白くなると思うかい?」

 予選新フォーマットを巡る議論が旬な話題となっていたオーストラリアGP開幕直前の木曜日、フォースインディアのセルジオ・ペレスはICレコーダーを止めると同時に、その場にいたジャーナリストたちに聞き返した。そして、率直な思いを語った。

「正直言って、僕は間違いなく退屈になると思う。特にQ3はね。逆に、波乱が起きるかどうかという意味では、何も変わらないと思うしね」

 長年にわたって予選の戦い方を分析し、シミュレーションしてきたF1チームは、もちろんこの新フォーマットの予選がファンにとって望ましいものでないことは百も承知だった。メルボルンの予選が盛り上がらず、予選後に批判の声が沸き上がるのは、はっきりと予見していたのだ。

 しかし、3月4日に世界モータースポーツ評議会(WMSC)が承認したこの新フォーマットは、もとをただせばF1チーム代表者で構成するF1委員会(Formula One Committee)で提案され可決されたものであり、"F1チーム発"のアイデアだ。

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