【F1】大混乱を招いた「新予選システム」はいったい何だったのか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 手に汗握るような、テレビ的な盛り上がりを期待してのアイデアだったのだろうが、F1のタイヤ特性を考えれば、最初に最速タイムが出て、その後はそれを更新することはできない。つまり、何分ごとに切り捨てられようが、最初のアタック以上にタイムを上げることはできず、順位は変わらないのだ。

 唯一の方法は、2セット目の新品タイヤを使ってもう一度アタックをすること。

 しかし、コースインして1周してタイムアタックに入り、タイムを記録するまでには2周分プラスアルファ......およそ3分前後の時間が必要になる(加えて言えば、一般的にピットに戻ってからもう一度コースインするまでの給油やタイヤ交換などの準備には1分ほどを要する。下位チームならさらに時間が掛かる)。つまり、ノックアウトゾーンにいるドライバーがコース上にいなければ、1分半後や3分後を待たずに脱落が決定してしまうのだ。

 また、予選・決勝で使えるタイヤのセット数には限りがあり、いくらでもタイムアタックができるわけではない。それも、2回目のタイムアタック回避の傾向を強くした元凶のひとつだ。

 しかし最大の問題は、「まだタイムアタックをしたい」というドライバーがいて、さらに好走が見られる可能性があるのに、終了前にノックアウトしてしまうことで走行のチャンスを奪われてしまうことだ。

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