MotoGP開幕。ロレンソ今季1勝目の
陰で光った、スズキの逸材

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「2位を取れたらもっと完璧だったけど、ドゥカティは加速の伸びがものすごかった。最終ラップの最終コーナーでは無理を承知でいちかばちかの勝負を仕掛けてみたけど、結果は3位に終わった。でもまあ、上々の結果だと思う」と、マルケスはゴール前のバトルを振り返った。

 マルケスの0.1秒背後では、バレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)が4位でゴール。

「戦略をミスしたわけじゃない。今日はあれでいっぱいだった。場所によっては自分のほうが速いところもあったけれども、いつも10メートルほど離れていて、アタックを仕掛けるほどのスピードがなかった」

 表彰台まで僅差ではあったものの、その僅差の距離が実は大きかったことを、ロッシはレース後に淡々と話した。

 さて、今回のレースでは、彼らトップ4と同様に大きな注目を集めていたのが、チーム・スズキ・エクスターのマーベリック・ビニャーレスだ。スズキのMotoGP復帰とともに昨年から最高峰クラスにステップアップした21歳の若者は、昨年の段階でもすでに逸材の片鱗を見せていた。ステップアップ直後のプレシーズンテストから、現場でいつもこの若者と言葉を交わしていて感じるのは、年齢なりの溌剌(はつらつ)とした明るさに加え、それ以上に実年齢よりも落ち着いて見える冷静さと精神的なたくましさだ。スマート、クレバー、という表現がおそらくは相応しいだろうか。

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