佐藤琢磨、インディ開幕戦6位に手応え。ファステストラップは2番手 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 しかし、マシンの仕上がりが非常に良かったことでトップレベルのラップタイムを刻み続け、先行するライバルたちとの差をジリジリ縮めていった。そしてレースの折り返し点手前でアクシデントが発生。フルコースコーションが出されて全車はペースカーの後ろをスロー走行。琢磨はトップグループとの差を一気に縮めることに成功した。
 
 レースが再開されるや、琢磨は一挙に5台をパスして8位に躍進する。インディカーの誰もが認めるリスタート巧者ぶりを発揮した。ところが、大きく順位をゲインした直後、前方で大きな多重クラッシュが発生。琢磨は、立ち往生したマシンと周辺に飛び散った破片の中を通り抜ける際に他車に接触してフロントウィングを傷め、さらにはタイヤの空気漏れも発生。ピットインを余儀なくされ12位までポジションダウンした。
 
 それでも、待ちに待った開幕戦でファイティングスピリット溢れるレースを戦っていた琢磨は、次のリスタートで2台をパス。その勢いは終盤になっても衰えず、クルーの行なうピットストップも確実かつ迅速だったことで、セントピータースバーグでの自己ベストまであとひとつに迫る6位でゴールした。

 レース中のファステストラップは22人出場中の2番手だったが、それは予選で使ったソフトタイヤで走っていた序盤に記録したもの。琢磨は新品のソフトをレース半ばのリスタートで使い、その直後にパンクに見舞われてしまった。もし新品のソフトで周回が重ねられていたら開幕戦のファステストラップ・ホルダーとなっていたのは間違いない。その上、ハードタイヤでのペースもトップレベルだった。

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