佐藤琢磨の優勝はあるか? 今季インディカー・シリーズの勢力図 (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano  松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 トップとの差は0.2263秒。これはショート・オーバルでは決して小さな差とは言えないが、今回のテストはドライバーとチームにとってはウォーミングアップ的なもの。2016年用のマシンに習熟し、マシン・セッティングのポイントを掴み取るのが目標で、それはおおむね達成されていた。

 キャリア2勝目を挙げられずに2シーズンを過ごした琢磨だが、2016年は持てる実力を発揮し、表彰台の中央に立つ活躍が期待できる。勝つために求められる様々な要素が整ってきたからだ。

 まずはマシン関連。今季のホンダ・エンジンとホンダ・エアロキットの戦闘力は十分に高い。一昨年はエンジン、昨年はエアロキットでシボレーが優位にあったが、ホンダは昨シーズンにエンジン競争で追いつき、今年は空力でも実力を接近させている。

 次に参戦体制だが、琢磨の所属するA・Jフォイト・レーシングは2台体制へと拡大して2年目を迎える。チームメイトはイギリス人のジャック・ホークスワースで変わらず、チームの一体感が高まっている。

 そのうえ、2人のドライバーたちを支えるエンジニアリングスタッフも補強された。レースウィークエンドの短いプラクティスでマシンを仕上げ、路面などのコンディションにセッティングをフィットさせていくには、豊富なデータとそれを解析する高度なエンジニアリングが不可欠。今シーズンのチーム体制なら琢磨がトップグループで戦うレースの数は増えるはずだし、その中で優勝に手が届く可能性も高いと見ていいだろう。

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