マクラーレン・ホンダのニューマシンは、中身が明らかに違う! (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「今日は、まだセットアップ作業はなにもやっていないし、システムチェックをしただけでクルマに関しては詳しいことが言える段階ではないけど、少なくともネガティブな要素はなかったよ。現段階でもクルマのフィーリングはいいし、よいクルマだ。パワーユニットもディプロイメント(エネルギー回生)不足の問題は解決されていたし、1日を通して安定していてシステムの問題も起きなかったしね」

 バトンが指摘し、評価したディプロイメント不足の解消こそが、ホンダにとって最大の課題だった。

 それが果たされていることが確認でき、バトンから好評価を受けてセッション後に行なったテレビ会議では、F1活動拠点であるHRD Sakura(日本)やミルトンキーンズ(イギリス)のスタッフの表情も思わずほころんだという。1990年代後半の無限ホンダ時代からエンジニアとしてF1の現場で戦ってきた、経験豊富な現場責任者の中村聡チーフエンジニアはこう語る。

「基本的にはターボが弱かったので、そこを大幅に変えました。MGU-H(※)そのものはモーターの性能も目標に近いところまでいっていましたから、こちらは信頼性の対策をしただけです。HRD Sakuraやミルトンキーンズのメンバーたちも必死に頑張って開発してきましたから、テスト後のデブリーフィングでジェンソンが『かなり改善された』と言ってくれたのは、ちょっと嬉しいコメントでしたね。みんなニコッとしていました(笑)」

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

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