参戦1年目の小林可夢偉「スーパーフォーミュラは甘くなかった」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

──全車が同じ車両を使うワンメイクのSFでは、そのくらい重箱の隅をつつくような争いになるということですね。

可夢偉 F1なら予選で1秒遅くても、決勝ではなんとかできるかもしれない......っていうのがあったけど、SFでは1秒どころか、0.1秒の差でものすごく大きな違いになります。その0.1秒を詰める作業が必要なんです。勝つためには、その0.1秒を縮めないといけない。そこがF1でやってきたこととの最大の違いでした。

──そんななかで可夢偉選手と所属チームのチーム・ルマンは、どのくらいまで到達することができたのですか?

可夢偉 95%くらいの力は常に出せていたと思います。でも、残り5%が絶対的に足りなかった。今年優勝したドライバーたちがなぜ勝てたのかというと、「実はセッティングで"何か"を見つけたんだよね」って言うんですよ。もちろん、それが何なのかは教えてくれないけど、自分たちのなかで『これだ!』っていうものが見つかったって言うんです。セルモがずっと速かったのもそうやし、トムスがシーズン途中から急に速くなったのもそう。僕らも95%より先に行くために、"何か"が必要だということはわかっていたし、いろんなことをやったけど、残念ながら最後までそれを見つけることができなかったんです。

──チャンピオンになった石浦宏明選手(セルモ)が可夢偉選手のオンボード映像を見て、「これでよく運転できるなと、ビックリするくらいセッティングが決まっていない」と話していました。

可夢偉 ホンマにクルマが毎回、全然違った(苦笑)。僕らはアホみたいに(セッティングを)いじってたから。それでも、何をしてもタイムはあんまり変わらへんっていうね。石浦のオンボード映像を見ると、「え、そんなに簡単なんや?」「幸せそうやなぁ」っていうくらい、ビシッと決まってましたから。

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