ホンダが現実を思い知らされた今季F1の「ターニングポイント」 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「ディプロイメント以外の面では、(ICEそのものの)パワーはかなり挽回できました。設計上の数値としても、トラック上での実測数値としても、相当な戦闘力になってきています」(新井総責任者)

 PUトラブルの続発もあり、車体側の改良も追いつかず、PUの性能向上が結果に結びつくことはなかった。だが、レギュレーションによる開発規制のなかで4段階のステップアップを経て、RA615Hは着実に進歩を遂げてきたといえる。

 そして、2016年に向けては、32トークンの新たな開発が許される。いよいよTCとMGU-H、そしてモノコック側も新たに設計し直し、ディプロイメント不足を解消できるときがやってきたのだ。

「ここまでの課題ははっきりわかっていますから、解決しなければレースにならないと思っていますし、もちろん問題がわかった時点で開発はスタートし、来年に向けての準備も進めています。我々のパワーユニットは絶対にマネできないくらいにコンパクトだし、そのぶんだけ車体の空力的な自由度が高い。マクラーレンとホンダで決めたゼロサイズのコンセプトは正しいと信じているし、それを突き詰めようと強く決意しています」

 ホンダにとってはこの冬こそが、“真の意味”でのターニングポイントになるだろう。

(次章に続く)

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