苦渋を味わったアロンソとバトン。ホンダドライバーの本音は? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 親しい関係者の間では、ホンダの開発姿勢に対して「自分たちの要望がきちんと聞き入れられているのかどうかわからない」と不満の声を漏らしていたというバトンは、パワーユニット批判とも取れる発言をすることもあった。その背景には、マクラーレン内部のみならず、両ドライバーともにホンダ首脳陣への疑念もあったのかもしれない。

 しかし、アロンソは日本GP直前に急きょ、栃木県のF1開発拠点『HRD Sakura』を訪問し、自分の目でその現場を見て、自分の耳でエンジニアたちの話を聞き、「他メーカーはヨーロッパのエンジニアが行き来することで模倣を重ねているが、ホンダは日本の技術と知恵だけで独自の道を開発すべきだ」と発言するに至った。

「僕たちは勝ちたい。そのためには、他と違うことをやらなければならない。今、僕たちがやろうとしていることは、まさにそういうことだ。いつかメルセデスAMGを打ち負かす日が来ると信じているし、向かっている方向は正しい」

 成績の低迷とともにスポンサーの離脱も相次ぎ、チーム内の雰囲気悪化も懸念されるが、現場で見る限りその心配はないように感じられる。バトンもこう語る。

「長いシーズンだった。そしてチャレンジングだった。チーム全員にとって、本当にものすごくタフな1年だった。でも、我々ドライバーも、エンジニアも、メカニックも、ポジティブであり続けることができた。そして、こうして最後に笑顔で終えることができて良かったよ」

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